トップページ > 刑事事件 > 国選弁護人の費用
被告人が資力不足の場合、国選弁護人が選任されることはよく知られていると思います。
では、裁判の終了後、国選弁護人の費用はだれがどのように支払うことになるのでしょうか?
国選弁護人の費用は、事件の内容が、被疑者段階からの弁護活動であったのか、接見回数や公判回数は何回であったのか等により変動が生じます。
もっとも、平均的な費用としては、犯罪事実に争いがない軽微事件であれば、概ね十数万円程度になることが多いのではないかと思います。
しかし、否認事件で公判前整理手続の期日を重ねる事件、裁判員裁判事件のような場合には、国選弁護費用といえども高額になるときもあります。
逮捕、勾留がされた場合であって、被疑者として取調べされているときでも必ずしも国選弁護人を選任できるというわけではありません。
被疑者段階での国選弁護人の選任要件は、所定の要件を満たすことに加えて、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件」であることが必要とされています。
そうすると、長期3年以下の犯罪について逮捕、勾留された場合であって、私選弁護人契約をする資力のない被疑者は、弁護活動を受けられないのではないかという疑問が生じます。このような問題に対応する制度として刑事被疑者弁護援助制度があり、同制度の費用援助により弁護活動をうけることが可能となります。
原則として被告人は訴訟費用を負担しなければなりません(181条1項本文)。
訴訟費用の内容としては、国選弁護人の費用、証人の旅費・日当などが含まれます。
情状証人等で被告人の親族等が証人として出廷した場合、証人の旅費・日当を放棄してもらうこともあります。
なお、訴訟費用の範囲は、刑事訴訟費用等に関する法律2条に定められています。
国選弁護人を選任した被告人は、資力が十分でないがゆえに国選弁護人を選任しており、貧困等により訴訟費用を納付することが困難なケースが多いと思われます。
そのような場合、181条1項但書の適用により、裁判所の合理的裁量に基づき訴訟費用を負担させないことができます。
刑事裁判を傍聴していると、国選弁護事件の判決言渡し時に、判決の理由を読み上げるなかで、「訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする」旨、裁判官から説明がある刑事裁判事件をよく見かけることがあります。
具体的に訴訟費用を負担させるか否かは、被告人の資産、職業、収入、家庭環境等を総合的に考慮して判断するものと思われます。
刑事訴訟法では、訴訟費用について貧困のために完納できないときには申立てにより執行の免除をもとめることができる旨の規定(刑訴法500条1項)が定められています。
この申立は裁判確定した後20日以内(刑訴法500条2項)と規定されています。