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少年事件で付添人となった弁護士は、どんなことに配慮して付添人活動を行うのがよいのでしょうか(以下、付添人のことを「弁護士」といい説明します)。私自身が少年事件を担当することになった場合、初回の接見では次のような点に配慮したいと思っております。
逮捕された少年は、警察官、検察官等、大人ばかりに囲まれた世界となります。そこで、少年事件を担当する弁護士は少年とのコミュニケーションにより精神面でのケアをすることが考えられます。
弁護士としては事件詳細を聴きたいところです。しかし、大人に対して敵対する少年に対しては、接見の導入部において、クラブ活動、地元エリアの話、家族の話などの雑談を交えて、少年との信頼関係を築きあげる活動が必要な場合もあると思います。
言葉づかい
少年事件の弁護士として少年と接する場合、私たちが通常、事務所でお客様と接するような言葉使い(敬語)で接するべきなのかという問題があります。
敬語で接することにより、少年も「1人の社会人として認めてくれているんだな」という思いを抱かせることができるかもしれません。しかし、一方では、少年と弁護士との間に壁があるかのような印象を与えかねません。
難しいところでありますが、私の方針としては、少年には家族と話しするような日常の関西弁で接し、信頼関係を築きあげたいと考えています。
少年事件において、逮捕された少年にも言い分があるはずです。
少年がなにに不満をもっているのか、現状におかれた環境をどのように感じているのかなど把握することも大切だと思います。
たとえば、家族環境に不満があるということを聞きとることができれば、弁護士としては、家族環境を改善する方法がないのかを考えることができます。少年の不満を聴くことにより、少年事件の解決のヒントが見つかる可能性があります。
少年によっては、「弁護士費用は高額だから自分には弁護士はいらない」と考えている場合もあるでしょう。
そのような場合には、国選弁護人の制度や法テラスによる援助制度を説明し、経済面において不安のある場合でも弁護士によるサポートをうけることができるということを説明してあげたいと思います。
少年との信頼関係を深めるために、優しく丁寧に接するということは重要なことであると思います。
しかし、いつもニコニコしているだけでは少年からの信頼は得られないと思います。
非常に難しいところではありますが、少年と弁護士との間には、信頼関係を築きつつも、時として一定の緊張関係を構築することも必要であると思います。