少年事件の解説|弁護士(付添人)の活動

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少年事件について

少年事件少年とは二十歳に満たない者をいい成人とは満二十歳以上の者をいいます。

家庭裁判所において少年審判を受ける少年について、付添人として弁護士を選任することができます。 

在宅被疑事件から家庭裁判所へ送致された場合には、捜査段階において弁護人を選任する機会がなかったことから、付添人を選任しないまま少年審判に移行するケースも多いと思われます。

少年の保護のためは、付添人を選任するのがよいと思います。付添人を選任することにより、被害者に対する被害弁償の交渉や、環境調整を行えます。そして少年審判事件を円滑に進めることができると思います。

少年事件の相談は随時受け付けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

少年法(付添人) 第10条
1 少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人を選任することができる。ただし、弁護士を付添人に選任するには、家庭裁判所の許可を要しない。
2 保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人となることができる。

家庭裁判所の審判に付すべき少年について

犯罪少年事件についてのフローチャート

少年事件の手続の流れ

家庭裁判所への送致について

少年事件では、捜査機関は犯罪の嫌疑がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければならないとされています(少年法41条、42条)。

そして家庭裁判所において調査を経て(8条)、少年に対する最終的な処分を検討します。

もっとも、一定の重大事件については、家庭裁判所は検察官に送致(逆送)しなければならないとされています(20条)。

少年法 第20条(検察官への送致)
1 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

1 審判不開始決定

2 審判開始決定

3 移送

家庭裁判所での保護処分等について

家庭裁判所で保護処分がなされる場合、①保護観察、②児童自立支援施設等への送致、③少年院送致の3種類があります。

少年法 第24条(保護処分の決定)
家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
一  保護観察所の保護観察に付すること。
二  児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。
三  少年院に送致すること。
2  前項第一号及び第三号の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。

審判の結果、保護処分に付することができないとき、保護処分に付する必要がないときには不処分決定がされます。例えば、審理の結果、非行なし、事案軽微と判断されるような場合です。

少年法 第23条(審判開始後保護処分に付しない場合)
2  家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。

少年法の年齢の考え方

保護事件については、「少年」該当性は、裁判所の判断が示される時点を基準として考えます。

例えば、18歳当時に犯罪を犯した場合であっても、現在は21歳となっているときは、少年審判の手続に乗らず、検察官送致となります。

少年法 第19条2項
家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

少年法では、刑の言渡し等について、少年に有利な規定が定められています。もっとも、これら規定の趣旨は、少年には可塑性があり少年保護を目的とするものです。

ゆえに、刑の言渡しの時において20歳を超えているときには、不定期刑の言渡し、換刑処分の禁止、有利な仮釈放の規定は適用されません。

少年法 第52条(不定期刑)
1 少年に対して長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が五年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を五年に短縮する。
2  前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は五年、長期は十年を越えることはできない。
3  刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。
少年法 第54条(換刑処分の禁止)
少年に対しては、労役場留置の言渡をしない。
少年法 第58条(仮釈放)
少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者については、次の期間を経過した後、仮釈放をすることができる。
一 無期刑については七年
二 第五十一条第二項の規定により言い渡した有期の刑については三年
三 第五十二条第一項及び第二項の規定により言い渡した刑については、その刑の短期の三分の一

もっとも、少年法では、犯罪の時の年齢を規準として適用される条文があります。例えば、罪を犯すときに18歳未満の者には、死刑をもって処断することはできません(少年法51条1項)。

少年法 第51条
1 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは無期刑を科する。
2 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。