トップページ > 家事事件 > 保護命令(DV法)
配偶者からの暴力被害に悩む場合、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「DV法」といいます)により保護を受けることができます。
手続きは、配偶者から暴力等を受けた被害者が、裁判所に保護命令の申立てを行い、裁判官との審尋を経て保護命令が発令されると、相手方配偶者は被害者に接近することが禁止されます。
また、一定の要件下においては子どもとの接近禁止を求めることができます。このページでは、DV法に基づく保護命令の手続き、効果などについて説明します。
※なお、細かい要件を記載すると分かりにくくなるので、説明箇所によっては概括的な記載となっていることご容赦ください。
保護命令の申立ては、配偶者からの身体に対する暴力や生命等に対する脅迫を受けた被害者が、所定要件の下、申立てすることができます(DV法10条1項柱書)。
具体的な態様としては、拳で体・顔を殴られたりするような場合や「ぶっ殺してやる」などの言動が発せられている場合などが考えられます。
保護命令の申立ては、相手方の住所や申立人の住所・居所、暴力や脅迫が行われた地を管轄する地方裁判所に対してすることができます(DV法11条)
保護命令に違反をした場合、懲役や罰金等に処せられる可能性があります。
内縁の配偶者や、以前配偶者であった者は保護命令の対象となるのか?という疑問が生じますが、この点につき、DV法では、そのような者も「配偶者」に含まれることを規定しています。
したがって、相手方の対象としては、婚姻期間中の配偶者はもちろんのこと、内縁関係にあるものを含みます(DV法1条)。
また、暴力や脅迫を受けた後、離婚をした場合でも、前配偶者を対象として保護命令の申立をすることができます(DV法10条1項柱書)。
保護命令の申立により、次に記載する1又は2の行為の禁止を求めることができます。
2つの違いは、1については、配偶者と別の場所に居住しているときに、接近行為等を禁止するのに対し、2は配偶者と同居中(共に生活の本拠としている住居)に、配偶者を一定期間退去させて保護するものです。
期間が異なるのは、2の場合、2ヶ月の時間があれば身辺整理、引っ越しの準備ができると考えられるからです。
また、上記1の命令を発する場合、裁判所は、申立てにより、面会要求・電話等の禁止命令をすることができます(DV法10条2項)。
また、所定要件の下、同居中の子どもや被害者の親族に対する接近禁止等を求めることもできます(DV法10条3項、4項)。
被害者は、配偶者に対し、身辺へのつきまとい、面会要求・電話等の禁止、子どもや被害者の親族への接近禁止を求めることができます。
保護命令の申立があると、可及的すみやかに審尋の期日が開かれます。
原則として、まず申立人に対して審尋を行い、次に相手方配偶者に対して審尋を行います。
保護命令の発令までの時間については、個別事案により異なりますが、概ね1~2週間で発令される事案が多いのではないかと思います。
裁判官による審尋が行われます。
申立人(被害者)としては、どのような暴力・脅迫を受けてきたのか証拠の裏付けにより証明します。
具体的な資料としては、診断書、怪我の写真、録画ビデオ、録音IC、メール送受信記録、陳述書等が考えられます。
保護命令の申立ては、相手方配偶者と緊張関係にある場合が多いことから、身体・生命への危険防止を考慮しつつ対応を考えなければなりません。保護命令の申立から発令までの間は、相手方配偶者の関知しない場所(シェルター等)に身を隠す必要であると思います。