トップページ > 民事事件 > 休眠抵当権の抹消
相続登記をしようとしたところ、過去の古い抵当権が設定されていた。
こんな相談がよく寄せられます。
これら休眠抵当権の抹消は、抵当権者と連絡さえとれないような事案があります。また、個人抵当権者の場合、相続が発生し、相続人が多数になっていることも想定されます。
休眠抵当権の抹消手続には事案に応じた対応策が必要となります。
休眠抵当権を抹消する方法、代表的な手続きは以下のとおりです。
供託額が高額になるような場合、訴訟等の手続を検討することがあります。
供託額は、債権額、利息、損害金についてすべての金額を供託することになります。そうすると、非常に高額になるかとも思われます。しかし、昔の抵当権の債権額は、数百円程度であることも多くあります。損害金を含めて供託をしても多額の金額とはなりません。このような場合、費用をかけて訴訟手続をするよりも、供託により休眠抵当権を抹消するほうがよいと思われます。
これに対し、債権額が30万円とか50万円で抵当権設定されている場合、供託額が非常に高額になってしまいます。このような場合、消滅時効を援用し、訴訟等の手続を経て抵当権抹消手続をすることが考えられます。
ここでは、相談事例として多い完済証明書等がない場合を想定して検討します。
供託による休眠抵当権の抹消の手続は、以下の要件が必要となります。
1 抵当権者が行方不明であること
行方不明であることを証明するには、登記されている抵当権者の住所地に対し、通知をしたが、通知が届かなかったことなどにより証明することが考えられます。
2 弁済期から20年以上の経過していること
弁済期については、現在の登記事項証明書には記載されていません。しかし、閉鎖登記簿謄本等を取得すれば、弁済期が登記されており判明することがあります。
3 被担保債権、その利息及び損害金相当額の供託をしたこと
供託は,当時の金額をベースに計算すれば足ります。例えば,抵当権100円となっていれば,100円に対し,利息・遅延損害金を計算して供託することになります。昔の抵当権の債権額は少額であることが多く、全額を供託しても高額とならないケースもあります。
休眠抵当権者が法人である場合、商業登記を調査し、現在の登記事項証明書が出てくるかどうかがポイントとなります。
登記事項証明書が出てこない場合は、上記手続と同様に、抵当権者が行方不明であるとして、供託等の手続により休眠抵当権を抹消することが検討できます。
登記事項証明書が出てくる場合、少々ややこしくなります。具体的には、当該法人の現場調査、代表者の所在確認などを行い、消滅時効の援用を根拠として抵当権抹消登記を求める裁判等を検討します。
抵当権の抹消の専門家は司法書士です。もっとも、裁判手続が必要な場合、弁護士によるサポートが必要となるケースもあります。
当職は、司法書士・弁護士いずれの資格登録としているため、ワンストップで相談者のご依頼にお答えすることができるというメリットがあります。ぜひ、休眠担保権の抹消についてご相談ください。
大阪司法書士会 第4157号 司法書士 片岸 寿文