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自己破産の申立を行い、免責決定がされると原則として借金を返済する必要はなくなります。
手続は各裁判所により異なりますが、自己破産申立後、書類の審査を経て特段の問題がなければ、書面審査のみで破産手続開始決定及び同時廃止決定が行われるケースもあります。
もっとも、借金の理由に問題がある場合等には裁判官との面談が必要になります。すなわち、債務者審尋という手続きが取られます。
なお、「自己破産の費用がない!?」という法律コラムも当事務所のサイトにあります。
私は、H17~H22頃まで特に多くの自己破産事件の申立を行ってきました。その経験から、あまりホームページでは紹介されていないような自己破産に関する情報を記載したいと思います。
受任通知を発送したら債権者からの督促は中止します。しかし、クレジットカードの支払を口座から自動引き落とししている場合には注意が必要です。受任通知を発送しても、債権者が口座引落を中止するのに若干の時間がかかるからです。
例えば、月末30日に口座引落の場合において、25日頃に債権者に受任通知を出しても自動引落はすぐには止まらないということです。
この場合には、事前に預金口座を残高0円近くにしておき、引落されないようにします。仮に、自動引落がされてしまった場合、債権者と交渉をしてもお金を返してくれない場合もあります。
このような口座引落の対策につき、弁護士から細かな指示があるかどうかは重要なポイントであると思います。
事務所で自己破産の相談をして「借金はどこからの分がありますか?」と聞くと大抵の相談者はすべて答えてくれます。しかし、自分が保証人となっている債務については、詳しく聞かないと答えてくれないケースがあります。「自分が保証人になっているものはありませんか?」と聞くと初めて話題に上がったりします。
自己破産申立の際、保証債務も債務として債権者一覧表に計上する必要があります。
クレジットで商品を購入している場合、自己破産申立しようとすれば、債権者によっては返還を求めてくるケースがあります。自己破産のケースで、自動車のローン中の場合、私の経験ではほとんどの債権者が自動車を返却するように求めてきました。その他、家電用品等についても返還を求めてきた債権者がありました。
しかし、私から「債務者は自己破産の申立準備中だ。金銭に困っているから着払いで送るよ!」といったら、返還請求をあきらめた債権者もありました。返還を求めるかどうかは、商品の価値や債権者の方針によるものと思います。
クレジットで商品を購入していた場合、自己破産申立時に特に気になるのは、購入の明細が分かってしまうというることです。明細を見れば、購入した日時、金額、商品が計上されています。
アクセサリー、貴金属等の高額品が明細に上がっているときは、個別に事情を説明しなければなりません。結構この作業が大変です。
また、同じ商品が繰り返し購入されているような場合、換金目的での購入が疑われるので事情説明が必要です。例えば、新幹線のチケットや高級ブランドバッグを何度も購入しているような場合です。
自己破産申立した債務者は一度も裁判所に行くことなく免責となるケースもあります(管轄により異なる場合あり)。
これに対して、自己破産申立をすれば裁判官との面接の期日を指定される事件もあります(債務者審尋)。
この審尋は、裁判官と債務者とが1対1で面接を行うものです(弁護士も立会できます)。結構緊張する手続です。なぜなら、この審尋の後で管財事件に移行する旨を告げられる可能性があるからです。私の経験から、債務者審尋が行われるケースは、免責不許可事由がある場合と財産があると思慮される場合とがあると思います。
例えば、自己破産申立をしたものの、免責不許可事由がある場合、その背景事情、使用した金額等について詳細を聞かれます。
また、財産があると思慮される場合、例えば近年に大きな退職金を手にしていたときは、その使用方法について質問されます。友人に貸した金があるときは返済を受けられる可能性の有無等について質問されます。
自己破産手続のとき、親族に内緒で破産をしたいという相談がよくあります。
多いのが、夫(妻)に内緒で破産をしたいというケースです。
事務所の方針としては、配偶者へ事情を説明するようにアドバイスしております。
とはいえ、自己破産が発覚すれば離婚になりかねないという特段の事情を抱えているケースもあります。このようなときは、非常に悩ましいのですが、目の前の借金問題を解決するため内緒で破産申立をすることも考えられます。
もっとも、注意しなければならないのは、自己破産申立の書類には、生計を1つにする同居家族の収入を証明する書面が必要になる場合があるということです。また、光熱費等の口座引落がされている場合、当該名義人の預金口座も提出しなければなりません。
会社に内緒で自己破産をしたいという相談もよくあります。
実際、会社にわざわざ自己破産することを報告する必要はないと思います。しかし、ここでも注意すべきことがあります。
例えば、会社からの借入金がある場合です。
この場合、会社も債権者となるので、受任通知を出さなければいけないのです。
そうすると、当然、会社にも自己破産することが知れてしまいます。
また、勤務歴が長い場合、退職金の見込額を提出する必要があります。この場合、会社に退職金規定がありそれが周知されていれば、その資料を提出すれば足ります。しかし、大抵の会社では退職金規定が書面をもって定められていません。
そのようなときは、退職金見込額証明書を会社から発行してもらうほか仕方ないと思われます。
残念ながら、その場合には、会社に破産することが知れてしまいます。
自己破産しても戸籍に記載されません。破産しても選挙権はなくなりません。
自己破産により制限を受ける職種があります(警備業・保険業・金融業等)。保証人の保証債務はそのまま存続するので、責任追及される可能性があります。信用情報に事故情報が記載されます(ブラックリスト)。
しかし、免責不許可事由に該当しても
裁判所は、自己破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる (破産法252条第2項)
との破産法の定めがあります。
実際の相談事例においては免責不許可事由が存在しているケースが大半ではないかと思われます。
非常に多い質問ですが、多重債務の原因で多いのがパチンコ等による浪費ではないか思います。免責不許可事由が存在しても破産申立の時に正直に申告し、以後の生活を改めれば裁量により免責される可能性はあると思います。
自己破産申立をして、免責不許可事由があった場合などは免責審尋がなされる場合があります。
各裁判所によって相違がありますが、概ね10人前後が集団で面談を行い裁判官から各債務者に対して順番に質問するようなケースがあります。
ローンが残っている自動車や残存価値が高い物は保有できません。 自動車でも古い車両(7年以上経過)は換価せず結果として手元に残る場合があります。
主債務者が自己破産手続きをおこない免責が出ても保証人の責任までも免責されるものではありません。保証人がいる場合の自己破産手続きは注意が必要です。
確かに自分でも申立することはできます。 しかし、債権調査や書類の収集・作成など難しい部分もあります。 自己破産の申立に際して裁判所は相談機関ではありません。 細かい質問には答えてもらえないと思います。
自己破産する以上、住宅は保有することはできません。 任意売却処分や担保権の実行などにより、不動産は処分することになると思われます。
自己破産しても、税金の支払義務は存続します。 その他、非免責債権として不法行為によって生じた債務なども免責されません。