リベンジポルノ画像の削除方法は?

トップページ > 法律コラム > リベンジポルノ画像の削除方法

リベンジポルノ画像の対応策を考える

リベンジポルノという言葉を最近よく耳にします。インターネットに自分の画像が掲載されてしまった場合、どのような対策がとれるのか考えてみました。

プロバイダ等に削除を求める方法

プロバイダ責任制限法等に基づく削除請求の方法が考えられます。

そこで、リベンジポルノ画像が「情報の流通」に該当するのか調べてみました。ネット検索すると、あまり具体的に書かれた記事はありませんでした。該当するのが当たり前だからでしょうか?

リベンジポルノ画像は、被写体本人が撮影されることについては同意していたという点が、通常のプライバシー侵害の写真とは違うという特殊性があります。

もっとも、同意撮影があったとしても、プロバイダ責任制限法等に基づき、削除請求を求めることができると考えられます。

プロバイダ責任制限法では

プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドラインによれば、

撮影それ自体について同意が得られていると思われる写真であっても、客観的に見て、通常の羞恥心を有する個人が公表されることに不快感又は精神的苦痛を感じると思われる写真(入院・治療中の姿等)については、削除できる場合が多い。

と説明があります。

ガイドラインは、【第3版:平成23年9月】となっていることから、作成当時にはリベンジポルノ問題はあまり意識されていなかったのでしょうか。

ただ、全裸の写真等は、入院・治療中の姿以上に公表されることに不快感、精神的苦痛を感じるのが通常と思います。

そうすると、「特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたとき」(プロバイダ責任制限法3条)の要件を満たすと考えます。

もっとも、掲載サイトの運営主体が海外にあるような場合、運営主体の所在を確認するのが難しかったり、法的手段(仮処分・訴訟)などが難しかったりすることが考えられます。また、日本国での判決が出たのにそれに従わないといった可能性も懸念されます。なおネット誹謗中傷等の解説は、当ウェブサイトにあります。

削除請求のみで実効性はあるのか?

プロバイダ等に対して削除請求を求めても、再度、リベンジポルノ画像を掲載されてしまう可能性があります。そのため抜本的解決には至らない場合もあります。

発信者情報開示等により、掲載した犯人を見つけ損害賠償等をすることも考えられます。ただ、情報開示まで時間がかかる可能性があります。また、裁判となると画像を証拠として提出するため、裁判官、裁判所書記官、その他訴訟関係人等に自分の写真を見せなくてはならないというハードル高さも考えなければなりません。

一番いいのは、検索結果に当該画像が検出されないようにすることです。

しかし、大手検索サイトが、当該画像がリベンジポルノ画像であるのかどうか判断することが困難なため対応するのは難しいのが現状ではないでしょうか。これに対して、児童ポルノ画像については厳しく対応しているようです。検索サイトにそのような画像を見かけることはありません。

そうすると、現行法で実効性が期待できるのは、名誉棄損罪、児童ポルノ法違反等の刑事罰による対応ということになりそうです。

新しい立法に期待

ネットで新しい立法はあるのかを検索していると、「復習(リベンジ)ポルノ問題」について谷垣大臣が意見を述べたようです。

早速、国会会議録検索システムで検索してみました。

そうすると、平成25年11月13日法務委員会で討論があったようです。

発言の内容は「政治上の演説」(著作権法40条1項)に該当すると判断し、討論の内容を全部載せたかったのですが、念のため一部引用にとどめることにしました。

ただ、会話の全体的なニュアンスは、直接、議事録を見た方が分かりやすいと思います。可能であれば、 国会会議録検索システムで検索してみてください。

谷垣国務大臣の発言要旨としては、

特にリベンジポルノに対して新しい立法をするということは特別に考えていない。名誉棄損罪も成立する可能性がある。児童ポルノ禁止法違反というのが考えられる。刑法175条のわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪等々も成立をする。したがって、大体現行で対応できると思っている。ただなにか足りないところがあるという議論はあると思うが、立法ができる程度に立法事実がある程度集まってこないとなかなか難しいのではないかと思う。

これに対し、三谷委員発言要旨としては、

立法的に対策をとると言うことは、そういうことをやっちゃいけないんだということを社会に知らしめていくというような普及啓発効果というのは、やはり拭い去ることができないのかなというふうに考えている。映画館、劇場の中で盗撮する行為というものを立法的に解決して、それを啓蒙したということによって、映画館の中で盗撮するという事案は格段に減ったというような実際の例がある。

※三谷委員(おそらく三谷英弘議員だと思います)。
三谷議員の発言趣旨は、あえてリベンジポルノ処罰法のようなものを立法し、それを社会に啓蒙することによって犯罪抑止の効果が期待できるということだと思います。

私も三谷議員の意見に賛成です。現行法で処罰できるとしても、やはり規範意識が低いのが現状ですよね。立法化により社会のニュースとなり、新聞、テレビで知らせることにより市民の意識も高まるといえるでしょう。早期の立法化を期待します。