スノーボードでの事故と損害賠償

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スキー、スノーボードの衝突事故の裁判例

冬のスポーツといえば、スノーボードが思いつくところです。

しかし、スノーボードは他のスキーヤーと衝突事故を生じさせる危険があります。

裁判例を研究したところ、現時点では(H25.1)スノーボードの衝突事故に関する最高裁判例は出ていません。そこで、地方裁判所での裁判例について紹介をします。

また、民事事件の項目では、スポーツ事故全般に関するページもあります。

スノーボード事故の裁判例(さいたま地裁 H20.11.14)

スノーボードで滑降していたYが,スキーで滑降していたXに衝突する事故が発生し、Xは,本件事故により,骨折等の傷害を負ったことから、養育費、入院雑費、交通費等、休業損害、慰謝料、弁護士費用等約530万円近くを請求したという事案。

裁判所の認定

過失の認定につき、スキー場において上方から滑降する者は,前方を注視し,下方を滑降している者の動静に注意して,その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負うと解するのが相当であるとし,Yの過失を認定し、Xの請求を概ね認めました。

裁判例の解説

この事件では、Yから、自己の目前でスキーヤーが急停止したため,これとの衝突を回避するためにやむを得ずXと衝突したのであるから,民法720条1項により,Xに対し損害賠償責任を負わない旨の反論がありました。 これに対して、裁判所は次のように述べ、被告の反論を排除しました。

当該スキーヤーの上方から滑降していたYは,スキーヤーが停止する可能性をも見越した上で滑降すべき注意義務を負うのみならず,スキーヤーが停止し,これとの衝突を回避するために進路を変更するに当たっては,その進路となる下方を滑走している者の動静に注意して,その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負うことになると解するのが相当である。本件において,Yは,この注意義務に違反したものと認められるから,Yの主張は理由がない。

この裁判例の判決の理由から考えると、上方から滑走するスキーヤー(スノーボーダー)は、目の前のスキーヤーが突然停止する可能性があることを考え、速度、進路を選択して滑走する必要があるといえます。

そうすると、目の前のスキーヤーが停止したため回避せざるを得なくなり衝突事故が生じたという旨の反論が認められるのは難しいそうです。

また、この裁判例では、注意義務につき、最高裁判例の言い回しがそのまま引用されていることから、スキーヤーとスノーボーダーはいずれも同様の注意義務を負っていると考えることができそうです。

最高裁 平成 7年 3月10日
スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負うものというべきところ・・・

スキー、スノーボード事故における過失の考慮要素等

判決の理由の規範で示しているとおり、速度や進路の選択などが考慮されるものと思われます。

また、裁判例では、X及びYのスキー、スノーボードの熟練度をそれぞれ認定しています。

どれくらいのスキー、スノーボードの経験があったのかという点も、過失認定について一定程度、考慮要素となり得そうだと思われます。

その他の考慮要素としては、ゲレンデの斜度、斜面の状況、天候、衝突の態様等が考慮されるものと思われます。

過失相殺について

本件では、Xについて過失相殺はされませんでした。しかし、被害者側において、進路妨害的な行為があったとすれば過失相殺の対象になるものと思われます。

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300万円以下
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3000万を超え3億円以下
3.15%+724,000円
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3億円を超える場合
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